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コロナ流行前の7割に 原爆資料館への修学旅行3月65校 年度内「駆け込み」も

 3月に修学旅行で原爆資料館(広島市中区)を訪れた小中高校の数が65校と、新型コロナウイルス流行前の2018年度(3月、95校)の7割の水準まで回復したことが分かった。関西など新型コロナの感染拡大エリアを回避する動きがあったほか、春夏などに中止した学校が年度内に「駆け込み」で訪れたもようだ。春のピークとなる5月が近づき、関係者は今後の動向に注目している。(山崎雄一)

 3月下旬、平和記念公園に、福岡県大刀洗町から大刀洗中の2年生約120人が訪れた。原爆投下時の様子についてボランティアから説明を受け、原爆資料館も見て回った。当初は1月に京都と奈良を巡る予定だったが、京都が緊急事態宣言の対象になり変更。平和学習に加え、宮島やお好み焼きなど観光資源が豊富な広島を選んだという。

 高畑彦前校長は「首都圏や関西に比べて広島の感染状況は落ち着いていた。生徒のためにも年度内に何とか実施したかった」と胸をなで下ろす。

 本来、3月は卒業式や教員異動を控えて修学旅行が少ない時期だ。20年3~5月は、資料館が休館したためゼロ。8月までは18年度比で1割に満たない水準だった。その後、12月には135校と同62・5%にまで改善。21年1、2月は再び落ち込んだものの、3月に入り急回復した形だ。全国的に新型コロナの感染者が増える中、新規感染がさほど多くなかった広島が選ばれた可能性がある。3月に入って来館を予約し、訪れた学校も複数あったという。

 全国で「第4波」の様相が強まり、先行きは見通せないものの、市の山口芳明観光プロモーション担当課長は「昨年度に実施できなかった学校が、目的地を広島に変えて新年度に予定しているところもある」とし「選んでくれた学校が広島の魅力に気付き、今後も選択肢に加えてくれるようになれば」と期待する。

(2021年4月19日朝刊掲載)

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