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被服支廠に残る「戦争」描く 中区でアマ画家藤登さん個展 全棟保存訴え

 広島市安芸区のアマチュア画家藤登弘郎さん(85)の個展「旧陸軍被服支廠(ししょう)から原爆の悲惨さを」が旧日本銀行広島支店(中区)で開かれている。保存活用を巡り議論が続く、市内最大級の被爆建物を描いた32点を展示している。25日まで。

 赤れんがの重厚な外観、爆風で曲がった鉄製の窓枠や扉、振動でずれ上がった塀などを水彩画で描写。多くの被災者が収容されて亡くなった薄暗い倉庫のたたずまいから、ひんやりとした悲しい雰囲気が漂う。

 藤登さんは、地場銀行を定年退職した後に絵を始めた。被服支廠の4棟のうち3棟を保有する県が2019年12月に「2棟解体、1棟外観保存」の原案を発表したのを機に、絵画展を企画した。昨年度の着手は先送りされたが、藤登さんは「壊せば全てが無になる。存在を広め、全棟保存へつなげたい」と力を込める。

 会場を訪れた介護士新田聖子さん(40)=坂町=は「爆風の影響を忠実に捉えた絵から、戦争の悲惨さが伝わってきた。建物を実際に見てみたい」と話した。

 午前10時~午後5時。25日は午後4時まで。無料。(湯浅梨奈)

(2021年4月23日朝刊掲載)

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