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花や魚の輝く命描写 広島市安芸区 被爆者の原さん水彩展

 核兵器廃絶を訴え、原爆ドームを3千枚以上スケッチしていることで知られる広島市安芸区矢野西4丁目の原広司さん(81)が、これまであまり公表していない花や魚などの水彩画の展覧会を、JR矢野駅の「やの交流プラザ」で開いている。8月末に作品を入れ替え、11月まで開く。

 アンコウ、アジ、ギザミなど、はがきサイズの紙に1匹ずつ細筆で丁寧に描かれた魚は淡く彩色され、涼味を誘う。出品作は、魚16点のほか、アザミなど花4点、港町などの風景2点の計22点。いずれも人柄を表す柔らかな仕上がりだ。

 絵画歴60年で、広島・被爆証言の会代表でもある原さんは「魚には優しさを感じて心が落ち着く。原爆ドームと向き合い、悲惨な光景を思い追悼する気持ちと反対の心情」と目を細める。

 個展開催を勧めた知人の楠精二さん(82)=矢野西5丁目=は「原さんの平和への祈念が身辺の命の尊さにも注がれている」と話している。(田中伸武)

(2013年7月25日朝刊掲載)

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