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原発への意識 広島で探る 米学生がフクシマ後を調査

 福島第1原発事故を受け、被爆地広島で原発に対する市民の意識がどのように変化したかを探るため、米ボストン大3年のメアリー・ポピオさん(21)が広島市を訪れて、被爆者や反原発の市民団体代表たちから聞き取りを進めている。「核の平和利用という言葉を受け入れてきたヒロシマが、フクシマ後に変わった」とポピオさん。調査を論文にまとめ来春、大学で発表する予定だ。(新山京子)

 ポピオさんは24日、中区の広島国際会議場で市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」共同代表の森滝春子さん(74)と会った。

 「反核と反原発の団体は別々に行動していた。福島の原発事故を受け、核は何であれ人類の問題と捉えるようになった」。森滝さんの言葉に、ポピオさんは「広島が反原発の先頭に立てば他国への影響は計り知れない」と感じた。

 6月20日から広島に滞在。被爆者や広島平和文化センターの小溝泰義理事長、市民団体「原発はごめんだヒロシマ市民の会」の木原省治代表たち約20人から話を聴いてきた。

 国際関係学を専攻する。日本文化にも関心が強く、昨夏には隠れキリシタンの歴史を調べるため長崎市を訪問。そこで初めて原爆被害に触れ、被爆地が核の「軍事利用」と「平和利用」の違いをどう考えているか知りたくなったという。

 広島滞在中は、広島女学院大(東区)の学生と交流。今夏、広島を訪れる海外の若者を平和記念公園(中区)に案内する。8月6日の平和記念式典に参列した後、帰国する予定だ。ポピオさんは「広島での経験を同級生たちに伝え、核問題を考えるきっかけにしたい」と話している。

(2013年7月25日朝刊掲載)

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