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正田篠枝の遺影を登録 広島平和祈念館 江田島出身 被爆歌人

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は27日、広島県江田島村(現江田島市)出身の歌人、正田篠枝(1910~65年)の遺影を登録したと発表した。市民団体「広島文学資料保全の会」(中区)が仲介し、孫の高本明佳さん(58)=西区=が遺影を提供した。

 正田は45年8月6日、爆心地から約1・7キロの平野町(現中区)の自宅で被爆し、佐伯郡大野村(現廿日市市)の別荘に避難した。逃れてきた被爆者を介護し、それぞれの体験や市内の惨状を聴いた。

 占領下の46年、短歌誌「不死鳥」に原爆歌39首を掲載。翌47年には歌集「さんげ」を出版した。平和記念公園(中区)南側にある「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑」の台座には、代表作の一つ「太き骨は先生ならむ そのそばに 小さきあたまの骨 あつまれり」が刻まれている。

 高本さんは「伝承者が少なくなり、原爆の事実が薄れていく危機感がある。微力だが、遺影の登録が少しでもヒロシマを考える機会になればいい」と話した。

 祈念館は被爆者の遺影登録を広く受け付けている。被爆者健康手帳は不要で、希望者には申込用紙を郵送している。祈念館☎082(543)6271。(明知隼二)

(2021年4月28日朝刊掲載)

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