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ゆだ苑、核兵器廃絶に力 記念書籍・被爆証言デジタル化… 禁止条約発効受け活動方針 

 山口県原爆被爆者支援センターゆだ苑(山口市)は28日、1月の核兵器禁止条約の発効を受けて、核兵器廃絶を訴える新たな取り組みを始めると明らかにした。被爆者支援にとどまらず、核兵器廃絶を求める活動により力を入れていく。

 計画するのは、条約発効の記念書籍の発行や被爆証言のデジタル化、記念集会の開催など5項目。22日の定時理事会、評議員会で決めた。書籍は、ゆだ苑の活動に携わってきた元理事や評議員、ユネスコクラブの山口大卒業生に条約への思いをつづった原稿を募り、来春をめどに発行する。

 ゆだ苑が保管する、県内の被爆者の証言を録音したカセットテープは電子化し、インターネット上で配信を目指す。今年の8月6、9日または「山口のヒロシマデー」の9月6日前後に、条約発効の記念集会を検討する。いずれも具体的な内容は今後決める。

 ゆだ苑は1968年の設立以降、県内の被爆者支援と平和運動の拠点となってきたが、禁止条約を巡っては署名活動などにとどまっていた。日本政府が条約参加の意向を示さず、村岡嗣政知事もヒバクシャ国際署名への協力を否定し続けているため、方針を転換した。

 岩本晋理事長(78)は「条約発効を追い風に活動を通して国や行政を動かし、被爆者が求めてきた核兵器のない世界を実現したい」としている。(山下美波)

(2021年4月29日朝刊掲載)

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