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「平和」の定義を協議 広島市議会 推進条例の素案巡り

 平和推進条例の制定を目指している広島市議会の政策立案検討会議は30日、市議会棟で会合を開き、条例の素案で、捉え方が狭いとの指摘が出ている「平和」の定義について協議した。市の基本構想や男女共同参画推進条例の「平和」との整合性などを検討するため、素案の表現を見直すかどうかの結論は次回以降に持ち越した。

 条例素案の第2条では平和について「世界中の核兵器が廃絶され、戦争その他の武力紛争がない状態」と定義している。1、2月の意見公募では「人権尊重や差別の撤廃、暴力がない状態も盛り込んでほしい」「環境問題の解決も加えるべきだ」など約40件の意見が寄せられた。

 この日の会合では、ある市議が「人権や環境は大切だが、市の条例なので素案のまま核兵器廃絶などに絞った方がよい」と発言。一方別の市議は、市が昨年6月にまとめた市基本構想が核廃絶や非戦に加えて「都市に住む人々が良好な環境で尊厳を保ち人間らしい生活を送る状態」と広く捉えていることを踏まえ、「条例と構想の定義を一致させるべきだ」と述べた。

 市によると、市男女共同参画推進条例は「すべての人が差別や抑圧から解放されて初めて平和といえる」としている。会合では、基本構想や同条例との優先度や整合性を議会事務局が調べることを申し合わせた。(新山創)

(2021年5月1日朝刊掲載)

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