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写真で語る 愚かな戦争 広島出身 中谷航太郎さん刊行

 広島市佐伯区出身の写真家中谷航太郎(本名石本馨)さん(56)=さいたま市=が、太平洋戦争の旧軍事施設などを撮影した写真集「戦争遺跡」を刊行した。2006年に出版した写文集「戦争廃墟(はいきょ)」に未発表作品を追加。写真をメーンにして再編集した。

 小笠原諸島の防空砲台、千葉県館山市の海軍地下壕(ごう)、長崎県川棚町の魚雷発射試験場…。国内32カ所で撮影した約150枚(うち未発表20枚)を収録。中国地方は、竹原市・大久野島の毒ガス製造施設、周南市・大津島の特攻兵器「回天」訓練基地の2カ所を載せた。

 前作の「戦争廃墟」は、廃屋を巡ったり撮影したりする「廃虚ブーム」を受けて出した。その制作過程で取材した元特攻隊員に触発され、「戦争の愚かさをもっとストレートに届けたい」という思いを強めた。

 「戦争遺跡」では、旧軍事施設の質感を伝えるために文章を最小限にとどめ、ページいっぱいに写真を引き伸ばした。「約70年前に兵士がそこにいた事実を想像してほしい」と中谷さん。地下壕の写真からは、岩肌の荒々しさや湿り気が伝わってくる。

 A4判変型、159ページ。ミリオン出版刊、3990円。(藤村潤平)

(2013年7月25日朝刊掲載)

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