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戦争伝える遺品や写真 原爆資料館 新たな寄贈品176点展示

 原爆資料館(広島市中区)へ2019年度に寄贈された資料を紹介する新着資料展が、同館東館地下1階で開かれている。動員学徒の遺品や被爆前の街並みを伝える写真など176点を展示している。無料。来年3月まで。

 県立広島工業学校(現県立広島工業高)1年だった山根秀雄さん=当時(12)=の遺品は、中身が黒焦げの弁当箱や学生服など5点。山根さんは市中心部の建物疎開作業に動員されて亡くなった。「早く母さんも貴方の処(ところ)に呼んで下さい」―。母の故初恵さんが書き残した悲痛な日記の一部も紹介している。

 市中心部で理髪店を営み、妻子5人と自身を含む家族6人全員が死亡した鈴木六郎さん一家の遺品のアルバムからは、被爆前の写真17点を並べる。県産業奨励館(現中区の原爆ドーム)前で笑みをたたえる子どもの姿や、本通り商店街の活気ある様子を写している。

 資料館によると、19年度は47人から計4758点の寄贈を受けた。鈴木さんの写真が3621点に上り、18年度(613点)を大きく上回った。同館は「貴重な資料が多く寄せられた。被爆実態を伝えるためにさまざまな資料を保存、活用していきたい」と引き続き収集に協力を呼び掛けている。同館学芸課☎082(241)4004。(水川恭輔)

(2021年5月5日朝刊掲載)

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