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広島にバッハ氏 実現は「厳しい」 橋本会長、来日を困難視

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長は7日の定例会見で、広島での聖火リレーに合わせ17日からの日程で調整されていた国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の来日について「正直申し上げて、非常に厳しいのではないか」との見通しを示した。東京都などに発令されている新型コロナウイルスの緊急事態宣言の延長が同日決定。広島県でも感染が拡大しており、来日は見送りの公算が大きくなった。

 橋本氏は「(来日の)計画は決まっていなかった。来られる状況になれば歓迎したいが、現段階では何も決まっていない。これからIOCがあらゆる方向性を決めていく」と説明した。ただ国内では厳しい感染状況が続き、医療体制が逼迫(ひっぱく)。緊急事態宣言の延長で「この期間にお越しいただくのは大きな負担をお掛けする。非常に難しい」と語った。

 大会の延期が決まる前の2020年2月、IOCは広島での聖火リレーに合わせたバッハ氏の訪日を正式発表。広島市中区の平和記念公園の原爆慰霊碑で献花し、原爆資料館を見学する計画だった。

 延期後もバッハ氏は、昨年11月以来となる来日と、広島訪問を希望。17日に平和記念公園であるリレー式典に出席し、18日には東京で菅義偉首相たちとの会談を行う方向で調整が進んでいた。

 五輪開幕まで80日を切った段階でIOCトップが開催国の訪問を断念せざるを得ない異例の事態。大会開催に懐疑的な世論に拍車が掛かりそうだ。宣言期間終了後に、改めて大会本番前の来日を検討する可能性がある。(中橋一誠)

(2021年5月8日朝刊掲載)

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