×

ニュース

[西日本新聞から] 被爆の「四の鳥居」一部発見 長崎の山王神社

 長崎原爆の爆風で吹き飛ばされ、片方の柱だけが残った「一本柱の鳥居」(二の鳥居)がある長崎市の山王神社で、正確な所在が分からなくなっていた「四の鳥居」の一部が見つかった。2014年から原爆遺構の調査を行っている市の調査検討委員会が会合で明らかにした。

 「長崎市史」によると、山王神社の参道には原爆投下まで4本の鳥居があった。このうち社務所近くにあった四の鳥居は高さ3・18メートル、幅2・54メートル。原爆の爆風で三の鳥居とともに倒壊したという。

 昨年8月の調査で、神社境内入り口近くから六つの石材が出土。市民団体「ピースバトン・ナガサキ」所蔵の被爆前の写真や、同市史に記された特徴と照らし合わせ、市はこれらの石材を四の鳥居の笠木(かさぎ)や柱の一部と認定した。倒壊後、実際に立っていた場所より40メートルほど離れた場所に保管されていたとみられる。

 一の鳥居は戦後の交通事故で倒壊しており、唯一残った二の鳥居は16年に「長崎原爆遺跡」として国の史跡に指定されたものの、境内は対象となっていない。市は境内全体を史跡として保存したい考えで、調査と発掘を進めている。市被爆継承課の担当者は「鳥居の発見は史跡の範囲を決めるうえで重要な要素」と語る。

 四の鳥居と同じく、所在不明になっていた三の鳥居もこれまでの発掘で見つかっている。今後は神社内の灯籠など、ほかの石造物の調査もする。

(2021年5月10日朝刊掲載)

年別アーカイブ