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撤去せず「巣立ち見守る」 「原爆の子の像」スズメの巣で広島市方針

 広島市中区の平和記念公園にある「原爆の子の像」の鐘にスズメが作った巣について、市は6月ごろまで撤去せず、ひなが巣立つのを待つと決めた。11日、鐘を鳴らすための鎖を当面の間は取り付けないと決め、音が出ないようにして子育てを見守る。

 巣は、直径約30センチ、高さ約60センチの鐘の中に、枝や草などで作られている。成鳥が出入りしており、卵やひなは確認されていない。日本野鳥の会広島県支部(西区)によると、スズメは6月ごろに巣立つという。

 平和記念公園は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で原爆資料館が6月1日まで臨時休館するなど、来園者が減っている。市緑政課は「鎖は毎朝取り付けていたが、巣を守ることを優先した。公園の利用者に迷惑や危険を及ぼす恐れが高まらない限り、温かく見守りたい」としている。

 巣は、資料館のヒロシマピースボランティアの反田豊昭さん(71)=南区=が、鐘の音が普段と違うと気付いて見つけた。反田さんは「命の大切さを教える場で、巣立ちを見守る判断になって良かった」と喜んだ。(小林可奈)

(2021年5月12日朝刊掲載)

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