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松江市被爆者協 解散へ 高齢化にコロナが拍車

 島根県松江市の被爆者たちでつくる「松江市原爆被爆者協議会」は、会員の平均年齢が89歳を超えて高齢化が進み、新型コロナウイルスの影響を受けて対面での活動もできないため、近く解散することを決めた。島根県内では、活動する地域の被爆者団体は出雲市と雲南市の2団体だけとなった。

 4月29日に理事会を開いて方針を決定。会員67人に知らせた後、解散する。これまで北公園(学園南)の原爆慰霊碑の清掃や原爆に関わる写真展の開催、市内の小学校での被爆体験の継承などを担ってきた。ピーク時に約350人いた会員が減り、役員が不足。コロナ禍も痛手だったという。

 県原爆被爆者協議会の50年史「被爆者は訴え語り続ける」(2013年)によると、1975年に旧玉湯町で地区協議会、86年に松江・八束原爆被爆者協議会が発足した。小林敏雄会長(98)は「解散という形にはなるが、被爆者であることに変わりはない。生涯活動を続けたい」と話した。

 県内ではこの10年で隠岐の島町、浜田市、安来市、益田市の被爆者団体が解散した。県によると、被爆者は21年3月末現在で700人を下回る。平均年齢は約90歳を見込み、全国で最も高い。県原爆被爆者協議会の原美男会長(94)は「頑張ってほしい気持ちはあったが、やむを得ない。残る2団体には被爆2世と協力して活動を続けてもらいたい」と話した。(寺本菜摘)

(2021年5月13日朝刊掲載)

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