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平和式典 今年も縮小へ 広島市 参列者 例年の1割

 広島市が、今年の8月6日に開く平和記念式典について、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて、昨年と同様に大幅に縮小する方針を固めたことが13日、分かった。参列者席は密集や密接を避けるため、例年の1割の最大880席に減らした昨年と同程度の規模とする方向で調整している。新型コロナの収束が見通せない中、2年連続で異例の小規模開催となりそうだ。(水川恭輔、新山創)

 市は昨年の式典で、会場の平和記念公園(中区)の芝生広場の席を最大880席とし、例年の1万1500席から大幅に絞り込んだ。屋外でマスクを外して人が並ぶ際に国が感染防止で求めている間隔の指針に沿い、席の間隔を2メートル空けた。

 複数の関係者によると、市は今年の式典でも芝生広場の席の間隔を2メートルとする方針でいる。平和宣言や子ども代表の「平和への誓い」など、プログラムの骨格は維持するという。

 昨年の式典では、「被爆者や遺族の参列は欠かせない」として優先的に席を確保した。今年も現時点では例年通り、全国の都道府県遺族代表や国内駐在の各国大使たちを招待する構え。市は、感染状況に応じて変更する可能性を説明した上で、各都道府県の担当部署に今年の遺族代表の人選を依頼する文書を送った。

 昨年の式典には、83カ国と欧州連合(EU)の海外来賓や都道府県の遺族代表たち785人が参列した。このうち遺族代表の出席は23人で、過去最少だった。一般席や全国から平和学習で訪れる小中学生たちの席は設けなかった。

 市は昨年、式典会場の平和記念公園への来場自粛を呼び掛けた。入場規制は範囲を広げ、規制開始を例年の午前6時半から1時間ほど前倒しした。新型コロナ禍でも感染予防と市民や遺族の慰霊の時間確保の両立を図るため、今年も同様の措置を検討している。

平和記念式典
 原爆死没者の慰霊と世界平和の実現を祈るのが目的。原爆投下2年後の1947年8月6日に開かれた平和祭で、当時の浜井信三広島市長が初めて「平和宣言」を読み上げた。原爆の日の式典は朝鮮戦争のあおりで、50年に中止となったのを除いて毎年続けられている。平和宣言は、世界各国に送られ、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を訴え続けている。昨年は被爆75年の節目だったが、新型コロナウイルスの感染予防のため、規模を大幅に縮小して開かれた。

(2021年5月14日朝刊掲載)

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