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放射線実験や災害訓練に力 原医研、新施設を公開

 広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)は13日、広島市南区の霞キャンパス内に新築した実験棟の看板除幕式を開き、報道陣に内部を初公開した。国内有数の放射線実験施設や、原子力災害トレーニングセンターを完備。近く、本格的な運用を始める。

 原医研の研究棟に隣接し、鉄筋5階建て。キャンパス内の離れた場所にあった実験施設の老朽化などを受け、昨年2月に着工し、今年1月に完成した。除幕式では、同大の越智光夫学長と原医研の田代聡所長が、「放射線先端医学実験棟」と記した看板を学内関係者にお披露目した。

 マウスなどの動物や培養細胞に放射線を当て、その影響を調べる実験室は5室ある。照射装置からの距離をずらし、幅広い線量で調べられるのが特長。田代所長は「極めて低い線量にもできる。分からない部分がある低線量被曝(ひばく)の研究に役立てたい」と話した。動物飼育エリアや、学外の研究者との共同研究エリアもある。

 トレーニングセンターは学内外の医療関係者の訓練などに使う。被曝した人の除染、内部被曝線量の測定などの対応が学べる。このほか、原爆被爆者の医療カルテなど、原医研が蓄積する貴重な被爆関連資料を保管するエリアも備えている。(田中美千子)

(2021年5月14日朝刊掲載)

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