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島根原発のベント設備工事進む 中国電が現場公開

 中国電力は26日、福島第1原発事故を受け、島根原子力発電所(松江市鹿島町)で進める安全工事の現場を報道陣に公開した。工事費は計1千億円以上といい、2014年度中には全ての工事を終える。規制委が稼働の必須条件とするフィルター付きベント設備が完成すれば、安全面での原発の稼働条件が整う。

 ベント設備は、原発事故が起きた際に原子炉格納容器の圧力を下げる役割を果たす。格納容器から蒸気を逃し、放射性物質を取り除いて大気中に放出する。14年度内の完成に向け2、3号機そばで5月に着工しており、この日は3号機東側の現場を公開した。

 地下に建設するため長さ40メートル、幅25メートルの敷地をショベルカーが約5メートルまで掘り進めていた。20メートルまで掘削した後、10月には内部に据える格納槽の建設に移る。3月に運転開始39年となった1号機は「40年を超える運転に必要な国の安全対策が未定」(中電)とし、着工を見送っている。

 この日は、事故時の対策拠点となる免震重要棟と、1、2号機近くの海岸でほぼ完成した防波壁(海抜15メートル)の工事現場も公開した。

 中電は2、3号機について、再稼働・稼働に向けた安全審査を年度内にも規制委に申請する。安全対策の完了前に申請する方針で、仮に審査をクリアし、ベント工事も終えれば稼働に必要なハードの対策は整う。その後は県と松江市、政府の判断などを経て稼働の是非が決まる見込みだ。

 島根原発1、2号機は定期検査で停止中。3号機は建設中でほぼ完成している。(樋口浩二)

(2013年7月27日朝刊掲載)

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