×

ニュース

内部被曝どう向き合う 西区「黒い雨」研究者ら講演

 放射性微粒子を体内に取り込む内部被曝(ひばく)の影響について、原爆投下後に降った「黒い雨」の研究者や、東京電力福島第1原発事故を受けた避難者が語る講演会が16日、広島市西区であった。

 内部被曝が人体に与える影響は科学的に未解明とされる。黒い雨の国の援護対象区域を再検証する検討会に参加する広島大の鎌田七男名誉教授(血液内科学)は「広島では長年、十分研究されず、健康影響は軽視されてきた」と指摘した。

 鎌田氏は、爆心地から約4・1キロの古田町(現西区)で原爆投下直後から約2週間、黒い雨を浴びた野菜を食べ、80代以降に肺がんや胃がんを発症した女性を紹介。被曝線量を測る目安となる染色体異常が多く見つかった点などから「発症は内部被曝が原因と考えられる」と説明した。

 2011年3月の福島第1原発事故後、福島県南相馬市から京都府へ避難した会社員福島敦子さん(49)は避難後の14年、約1カ月間、子どもの鼻血が止まらなかったり顔が腫れたりした時期があったと報告。「内部被曝の影響以外は考えられない」と述べた。

 講演会は四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求め、広島地裁に提訴している原告団が主催。ウェブ会議システムを通じて約100人が聴講した。(松本輝)

(2021年5月17日朝刊掲載)

年別アーカイブ