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風通し 梅雨の合間に 原爆死没者名簿120冊

 広島市は19日、中区の平和記念公園で、原爆慰霊碑に納めている原爆死没者名簿を外気に当てて湿気を取る「風通し」をした。昨年から2冊増え、4943人分が加わった名簿120冊を並べ、市職員が1枚ずつ丁寧にめくった。

 原爆投下時刻の午前8時15分に黙とうをした後、職員18人が作業を始めた。石室から取り出した名簿を碑前に敷いた白い布の上に並べ、傷みがないか確認。例年は市内の児童や生徒、修学旅行生たちが見守るが、新型コロナウイルスの影響で昨年と同様に見学者は少なかった。

 120冊のうち118冊には、昨年8月5日までに死亡が確認された広島の被爆者32万4129人の名前などを載せている。別の1冊には遺族が希望した長崎の被爆者の10人の名前、もう1冊には「氏名不詳者多数」と記している。

 父親が被爆し、原爆資料館(中区)のヒロシマピースボランティアを務めている塚本誠さん(68)=東区=は「被爆の記憶を風化させない大切さを、あらためて実感した」と話した。

 市は風通しした名簿を順次、石室に戻した。広島の最新の1冊と長崎の1冊は取り置き、昨年8月6日以降に亡くなるか、新たに死亡が確認された被爆者の名前を6月上旬から記帳する。8月6日の平和記念式典で納める。(小林可奈)

(2021年5月20日朝刊掲載)

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