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2~5条の素案を維持 平和推進条例 広島市議会会議決定

 平和推進条例の制定を目指している広島市議会の政策立案検討会議は、条例の素案のうち「平和」の定義など第2~5条について、素案の表現を見直さないと決めた。市議会棟で開いた会合での議論は、市民の役割を「市の平和の推進に関する施策に協力する」とする第5条に集中。修正を求める声が出たが、意見が一致せず、維持で決着した。

 第5条に対しては、1~3月の意見公募などで、市民たちから「市の施策に異論を持つ場合もある」「義務として定めると思想の自由を侵害する」など、52件の声が寄せられた。

 このため会合では、市議の一人が、議論の多い「市の施策に協力する」との部分を削り、「市民は平和の推進に関する活動を行うよう努める」とする修正を提案した。多くの市議が賛同する意向を示した。

 一方で別の市議一人が「市民が市に協力するのは当たり前で、素案のままで良い」と主張した。検討会議は「意見が割れた場合は素案を維持する」と申し合わせており、表現を変えないことになった。

 前回の会合で他の市条例との整合性が課題となった第2条の「平和」の定義については、「矛盾しないと確認できた」として、素案のままとした。

 検討会議は今後も協議を続け、6月15日開会予定の市議会定例会への条例案の提案を目指す。(新山創)

広島の市民団体 素案修正求める 市議会議長に

 8月6日に広島市内でデモをしている市民団体「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」は、市議会が制定を目指している平和推進条例について、市民意見を重視して素案の内容の削除や修正をするよう、山田春男議長に申し入れた。

 市議会の政策立案検討会議は、制定に向けた議論に当たり、意見が割れた場合は素案を維持すると申し合わせている。これに対して実行委は、素案に反対意見が出ている点を指摘し、全員の意見が一致しない場合は削除するよう主張。制定を急ぐ理由も問うた。

 団体メンバーが議長公室で申し入れ書を渡した。山田議長は「いろいろな意見があり、丁寧に議論している。条例を作りたいという気持ちは理解してほしい」と話した。

(2021年5月21日朝刊掲載)

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