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被服支廠耐震化を歓迎 広島市長「利活用策の議論を」

 広島市の松井一実市長は20日の記者会見で、広島県が表明した被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)の耐震化方針について「積極的に協力していく」と述べた。今後の利活用で県や国と議論を深めるとし、市が費用負担する可能性についてあらためて言及した。

 松井市長は「もの言わぬ証人である被爆建物を活用する表明だと受け止める」と、所有する全3棟の耐震化にかじを切った県の判断を評価した。国の重要文化財(重文)の指定を目指す点には、建造物としての価値を含めて「被服支廠の多様な価値を再認識する上で意義がある」とした。

 市としての費用負担については「被爆建物として『ヒロシマの心』を発信していく施設となり、県市共同でやっていこうとなれば、当然考える必要がある」と語った。そのためには、国や県と議論していく利活用策の中身が重要になるとの認識を示した。

 利活用の具体的な内容については「さまざまな意見がある。意味のあるものにするため、望ましい方法を議論したい」と述べるにとどめた。

 県は2019年12月、建物の安全対策として「2棟解体、1棟外観保存」との原案を示したが、保存を求める声の高まりなどを受けて先送り。工事費を圧縮するめどが立ったとして、3棟全てを耐震化する新方針を今月19日に示した。松井市長は今年1月、費用の一部を負担する可能性に言及していた。(明知隼二)

(2021年5月21日朝刊掲載)

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