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広島市、平和宣言のネット配信中止 「費用対効果薄い」

 広島市は、「原爆の日」の8月6日の夜に市長が英語で読み上げる平和宣言をインターネットで配信する事業をやめる。市民発の取り組みで2010年から市主催で実施してきたが、海外からのアクセスは毎年10件前後にとどまるためだ。関わってきた市民グループは突然の打ち切りに落胆している。

 事業ではライトに照らされた原爆ドーム(中区)をバックに、市長が英文の平和宣言を読む。原爆を投下した米国の中西部が投下時刻の6日午前8時15分を迎えるのに合わせ、日本時間の6日午後10時15分からネット中継してきた。

 市民有志でつくる実行委員会が09年に始め、当時の秋葉忠利市長が賛同。翌年から市主催で引き継ぎ、ネット中継の業者委託費として毎回100万円程度を予算化した。11年に就任した松井一実市長も2回読み上げた。

 海外からのアクセスは10年に13件、11年に8件、12年は7件。市は本年度も予算化したが「費用対効果は薄い」と判断して今月18日、サポートしてきた実行委に打ち切りを告げた。

 その代わり、6日午後に中区で開く国際会議で松井市長が平和宣言を英語で読むことにした。市平和推進課の横山元信課長は「反応が薄く手法を見直さざるを得ない」と説明。3週間を切っての打ち切り通告には「申し訳ない」としている。

 関連イベントの準備を進めていた実行委の山根進委員長(63)=中区=は「この事業は時と場所に意味がある。そこを理解して来年は再開してほしい」と訴える。(門脇正樹)

(2013年7月27日朝刊掲載)

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