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NPT会議 3度目延期へ 来年1月までの開催探る

 8月に米ニューヨークの国連本部で予定される核拡散防止条約(NPT)再検討会議が、新型コロナウイルスの影響で3度目の延期となる公算が大きくなったことが25日、分かった。NPT加盟国がオンライン会議で現状認識を共有。核兵器禁止条約の発効1年となる来年1月までの開催を探る案が出ているという。

 核保有国と非保有国が同じテーブルに着き、核軍縮の道筋などを探る5年に1度の重要な会合。当初は2020年4~5月の開催を予定した。新型コロナの世界的な感染拡大で今年1月に日程を変更したが、収束のめどが立たず、8月に再延期していた。

 関係者によると、議長に内定しているアルゼンチンの外交官スラウビネン氏と日本を含む加盟国の代表が20日、オンライン形式で意見交換した。8月2~27日に過去と同規模の会合を開くのは困難との状況を確認。オンライン会議を活用して規模を縮小しても、今夏開催は「相当厳しい」(関係者)という。

 一方で加盟国の間には核兵器禁止条約発効1年の節目で、締約国会議も開かれる22年1月までの開催を求める意見が根強い。各国の感染状況やワクチン接種の進展を見極めて開催の時期や形式を探り、スラウビネン氏が具体案を提示する方向という。

 被爆地では松井一実広島市長と湯崎英彦広島県知事が8月の会合に現地参加する意向を示し、ともに21年度予算に出張費を計上。日本被団協は昨春の代表団派遣を中止した経緯がある。(樋口浩二)

核拡散防止条約(NPT)
 1970年に発効し、約190カ国が加盟する。米国、ロシア、英国、フランス、中国に核兵器の保有を認める一方、核軍縮の義務を課す。5年に1度、条約の運用状況を点検する加盟国間の再検討会議を開いている。これまでは各国の外交団に加え、広島、長崎の被爆者や市民団体も参加してきた。前回の2015年の会議では合意文書を採択できず、核軍縮の進展に課題を残した。

(2021年5月26日朝刊掲載)

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