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原爆絵本通じ地域交流 はらさん死去 関係者ら悼む声

 原爆をテーマにした絵本「ピカドンたけやぶ」で知られる三次市の詩画家はらみちをさんの訃報が伝わった26日、物語の舞台となった広島市東区牛田地区など、ゆかりの地の関係者から悼む声が相次いだ。

 「気さくな人で、地域の祭りによく顔を出してくれていた」。牛田地区の住民グループ「牛田の歴史と文化を生かしたまちづくりの会」の会員西坂悟さん(75)=牛田本町=は惜しむ。2014年、地元の民話を題材にしたジャンボ紙芝居の原画を依頼した。その絵本が今年3月に完成し、「届けようと思っていたところだったのだが…」と肩を落とした。

 両手足が不自由で車いす生活だったはらさん。大朝町(現北広島町)で暮らしていた1948年から20年間、表具屋の一角で時計印判店も営んでいた。当時を知る山本正克さん(70)=同町大朝=は「体が不自由でも、店や絵描きをやり切った不屈の人でもあった」と振り返った。

 三次市君田町の「はらみちを美術館」は約180点を所蔵する。スタッフの山本光子さん(71)は「自分を苦労して育ててくれたお母さんとの思い出を繰り返し話してくれた。優しい雰囲気の絵は、お母さんとのつながりから生まれたのでは」と推し量った。(城戸昭夫、石川昌義、与倉康広)

(2021年5月27日朝刊掲載)

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