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「核廃絶への機運向上」 湯崎知事、広島訪問を評価

 米国のオバマ元大統領が在任中に被爆地広島を訪れて5年となった27日、広島県の湯崎英彦知事は県庁で報道各社の取材に応じた。バイデン大統領の国際協調主義を歓迎。核兵器廃絶へ向けた国際的なうねりづくりへ、県の努力を誓った。

 湯崎知事はオバマ氏の広島訪問について、核廃絶へ国際社会の機運が高まったと評価した。続くトランプ政権では逆行したが、今年1月に発足したバイデン政権は米ロの新戦略兵器削減条約(新START)延長などを進めたとして「廃絶へ、国際社会も協力して大きなうねりにつながるのを期待したい」と述べた。

 米国には「核兵器の先制不使用」の採用や「警戒即発射態勢」の縮小を挙げて核軍縮策の明示を望んだ。日本政府に対しては、なぜ安全保障を米国の核抑止力に頼るのかについて詳しく議論されていないと指摘。「何らかの論拠があるなら、そこを出発点に、脱却へ何が必要なのか本気で議論してほしい」と迫った。

 県としては、核兵器のない安全保障論の確立を目指す考えを強調した。

 広島市の松井一実市長はコメントを出した。「全世界の為政者が核抑止論から解放されるよう環境づくりを進める」とし、バイデン氏の広島訪問の実現に努める考えを示した。(岡田浩平)

(2021年5月28日朝刊掲載)

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