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政府に「脱原発」訴え 福島で原水禁世界大会開幕

 原水禁国民会議などの原水爆禁止世界大会が28日、福島市の福島大会で開幕した。「原発再稼働を阻止し、政府に脱原発・エネルギー政策転換に向けてかじを切らせる」とするアピール文を採択した。大会は被爆地の広島、長崎市に会場を順次移し、8月9日まで続く。

 福島での開催は福島第1原発事故があった2011年に始まり、3回目。脱原発を核兵器廃絶、被爆者援護とともにスローガンに掲げた。会場の福島県教育会館には昨年に比べ約150人多い約1200人(主催者発表)が参加した。

 大会実行委員長の川野浩一原水禁議長はあいさつで、安倍政権による原発の再稼働や輸出の動きを批判するとともに、「広島、長崎の被爆者は今も苦しんでいる。福島の被災者への補償を明確にすべきだ」と訴えた。

 講演で、広島市の市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」の森滝春子共同代表は「核の軍事利用も商業利用も根は一つ。被害の原点に立ち、廃絶を訴えていこう」と、被災者との連帯を呼び掛けた。

 福島県平和フォーラムの五十嵐敬事務局次長が、現地報告で「これだけ深刻な被害を出しながら、各電力会社が原発の再稼働を目指して安全審査を申請した。信じられない」と地元の声を代弁した。

 参加者は終了後、福島市中心部の約2キロをデモ行進した。広島市では8月4~6日に広島大会、5日に国際会議を開く。

 日本原水協などの世界大会は3日、広島市での国際会議で開幕する。(藤村潤平)

原水禁国民会議議長「核禁会議とは大きな溝」

 原水禁国民会議の川野浩一議長は28日、福島市での原水爆禁止世界大会で「私たちは強い確信の下に断固として脱原発を進める」と述べ、同じ核兵器廃絶を訴えながら核の平和利用を認める核禁会議を暗に批判した。

 川野議長は、両者の関係に「大きな溝ができた」と説明。連合と3者で被爆60年の2005年から主催してきた広島、長崎の両市での平和大会が、ことしは中止になったことに触れた。続けて「核に良い核も悪い核もない」と訴えると、会場からは拍手が起こった。

 原水禁は脱原発を訴える一方、電力会社や製造業の労組が加盟する核禁会議は「原子力の平和利用」を主張。両者は核兵器廃絶で共闘してきたが、福島の事故後は原発をめぐる路線の違いが鮮明になった。

 平和大会は、ことしから連合主催の平和集会となり、広島市では8月5日に開かれる。(藤村潤平)

(2013年7月29日朝刊掲載)

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