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核廃絶 市民の力必要 禁止条約 広島市が講座

 核兵器の開発や使用など一切を禁ずる核兵器禁止条約に理解を深めてもらおうと、広島市は30日、市民講座「わかるとかわる! 核兵器禁止条約」をオンラインで開いた。地元の専門家3人が、禁止条約を核廃絶につなげる方策を考えた。

 広島修道大の佐渡紀子教授(国際政治)は、核兵器を使うとの威嚇も禁じる禁止条約の内容を「人々の安全に有益だ」と評価した。一方で、核廃棄の履行を検証する具体策やスケジュールが示されていないとして「市民社会で考えていく必要がある」と述べた。

 市立大広島平和研究所の孫賢鎮(ソン・ヒョンジン)准教授(北朝鮮問題)は、日本と同じく米国の「核の傘」に頼る韓国が禁止条約を批准しない姿勢だと説明。核開発を続ける北朝鮮問題も踏まえて「各国の信頼関係がないままでは、批准は難しい」と指摘した。

 広島平和文化センターの小泉崇理事長は「為政者を変えられるのは市民社会だ。『核兵器は絶対悪だ』との認識を総意にしていこう」と呼び掛けた。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて広島国際会議場(中区)からライブ配信し、約200人が聞いた。講座では、音楽や絵を通じて平和の大切さを感じてもらおうと、被爆ピアノの演奏や、平和首長会議が国内外の加盟都市から募った絵画の紹介もあった。(余村泰樹)

(2021年5月31日朝刊掲載)

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