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広島の医師 再びガザへ 「国境なき-」 安芸区の西岡さん 2日出発「確実に職務果たす」

 国際医療援助団体「国境なき医師団」(MSF)の一員として活動する広島市安芸区の麻酔科医、西岡憲吾さん(65)が6月2日、パレスチナ自治区ガザでの医療支援活動のため広島を出発する。ガザでの任務は2019年以来2度目。当時出会った人の無事を祈りつつ、「与えられた仕事を確実にこなしたい」と力を込める。(高本友子)

 イスラエルによるガザへの空爆を中心に今月10日から実質11日間続いた戦闘を受けての派遣。西岡さんには、21日の停戦発効前にMSFから任務の打診があった。けが人の多さから医療機関が逼迫(ひっぱく)し「2週間後には出発してほしい」との緊急的な要請だったという。約5週間、空爆でけがを負った人たちの治療に当たる予定だ。

 西岡さんは18年末にMSFに初めて参加。19年4~5月には、ガザで支援活動をした。イスラエルとの境界線近くで抗議活動に参加し、足を狙撃された若者を治療することが多かったという。

 緊張を感じながらも、心に残ったのは人々の温かさだった。パンをおまけしてくれた店員、公園で笑顔で接してくれた人…。「胸の内は分からないが、市民は友好的で、悲壮感はなかった。『普通』の生活があるのだと感じた」と振り返る。

 今回の戦闘で、ガザ側は子どもを含む200人以上が犠牲となった。知人たちは無事だったが「どこにも安全な場所がない」という連絡を受け、戦闘の激しさを感じていたという。

 「ガザの街がどうなっているのか、公園で顔を合わせていた人たちは大丈夫なのか、確かめたい思いもある」と西岡さん。「麻酔科医はどこでも必要とされる仕事。チームの一員として職務を果たしたい」と意気込む。

(2021年5月31日朝刊掲載)

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