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原爆の爪痕…旧陸軍被服支廠を見学 広島で親子 恐ろしさ実感

 広島市南区の被爆建物で、戦時中は軍服や軍靴を製造していた「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の見学会が27日、現地であった。小学生やその保護者たち約60人が、地域に残る原爆の爪痕に触れた。(加納亜弥)

 身近な戦争遺跡を知ってもらおうと、南区の大河公民館と大河地区青少年健全育成連絡協議会が企画。市民団体の廣島・ヒロシマ・広島を歩いて考える会(西区)の多賀俊介代表(63)が案内した。管理する県の許可を得て敷地内も見て回った。

 建物は爆心地から2・7キロにあり、L字形4棟からなる。多賀さんは、れんが造りの外壁の窓を覆う鉄扉が、爆風で内側に大きくへこんだと解説。「威力を想像して」と呼び掛けた。皆実小2年の柳田理登(みちと)君(8)は「大人になっても残っているかな」と見詰めていた。

 12歳で被爆し、母親が被服支廠で働いていた南区の松原美代子さん(80)の体験談も、大河公民館で聴いた。近くの主婦中西里佳さん(40)は「身近な場所であらためて原爆の悲惨さを考えることができた」と振り返った。

(2013年7月28日朝刊掲載)

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