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国連で1月開幕を打診 再々延期のNPT再検討会議

 新型コロナウイルスの影響で米ニューヨークの国連本部での8月開催を延期する方向になった核拡散防止条約(NPT)再検討会議を巡り、議長に内定しているアルゼンチンの外交官が来年1月17日開会、2月14日閉会の日程案を日本など加盟国に打診していることが1日、分かった。核兵器禁止条約の初めての締約国会議も1月中旬にオーストリアで予定され、各国との調整が必要となりそうだ。

 関係者によると、議長候補のスラウビネン氏から新たな日程案が提示されたのは5月下旬。現在予定されている8月の開催はコロナ禍で難しいとしながらも、ワクチン接種が各国で進んでいることなどから来年初めには開催できるとの見通しを示したという。

 一方、核兵器禁止条約の発効1年に合わせた締約国会議は来年1月12~14日にオーストリアの首都ウィーンで開催される予定だ。関係国の間では「核保有国も含めて幅広い国々が参加するNPT再検討会議を先に開いて核兵器禁止条約の意義を浸透させ、核軍縮の機運を高めるべきだ」との声が出ており、来春への延期を探る動きがある。

 再検討会議は核兵器保有国と非保有国が同じテーブルに着き、核軍縮の道筋などを探る5年に1度の重要な会合。当初は2020年4~5月の開催を予定した。コロナ禍で今年1月に日程を変更したが、収束のめどが立たず、8月に再延期していた。被爆地では松井一実広島市長と湯崎英彦広島県知事が現地参加する意向を示し、ともに21年度当初予算に出張費を計上。日本被団協の対応は未定という。(樋口浩二)

核拡散防止条約(NPT)
 1970年に発効し191の国と地域が加盟。米国、ロシア、英国、フランス、中国に核兵器の保有を認める一方、核軍縮の義務を課す。5年に1度、条約の運用状況を点検する加盟国間の再検討会議を開いている。これまで各国の外交団に加え広島、長崎の被爆者や市民団体も参加。前回2015年の会議では合意文書を採択できず核軍縮の進展に課題を残した。

(2021年6月2日朝刊掲載)

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