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カンボジアの子へ支援募る 平和交流施設「ひろしまハウス」 コロナ禍 貧困家庭打撃

 カンボジアにある平和交流施設「ひろしまハウス」に通う貧困家庭の子どもたちが、新型コロナウイルス禍にあえいでいる。保護者の収入が途絶え、日々の食事もままならないという。施設を運営するNPO法人カンボジアひろしまハウス協会(広島市中区)の現地代表、友広壮希さん(29)=西区出身=は窮状を訴え、食料購入などに充てる寄付を呼び掛けている。(高本友子)

 ハウスは、カンボジアと被爆地をつなぐ拠点として広島市民有志の手で2006年にプノンペンに完成。貧しい子どもに無償で教育と給食を提供している。現在、日本の小中高生に当たる年齢の51人が通う。

 友広さんによると、カンボジアでは2月下旬からコロナ感染が広がり始めた。プノンペンは4月からロックダウン(都市封鎖)を実施。厳しい規制を受けた地域は外出禁止となったほか、食料品店や市場が休業になり学校も休校が続く。

 「貧困家庭が真っ先にコロナの影響を受けた」と友広さん。ハウスに通う子どもたちの親は市場で商店を営んだり、工場で働いたりしているケースが多く、仕事がなくなった。一日の食料の確保が難しい家庭もあり、スタッフたちが食料を届けたという。

 ハウスや学校はオンライン授業に取り組むが、家に十分な通信環境がないために受講できず、家事の手伝いばかりしている子どももいる。友広さんは「教育の機会があるからこそ、夢や希望が抱ける。なくなったのは大きな打撃だ」と強調する。

 一方、友広さんは家庭に食料を届けた際、少しの支援で人の心がほどけ、希望を失わずにいられることも再確認できたという。「日本も苦しい時が続いていると思う。他の国で起きていることにも思いをはせてもらえれば」と話している。

 支援金は、ハウスのホームページ(https://hiroshimahouse.com/)で受け付ける。協会事務局☎082(258)1213。

(2021年6月8日朝刊掲載)

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