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福山空襲や原爆の被害…小中高生ら表現 戦争の悲惨さ 朗読劇で継承

 福山空襲や広島原爆をモチーフにした朗読劇「星に願いを~昭和二十年あの日のあの時」が8月9日、福山市で上演される。平和を考える劇は今年で12回目。ステージで朗読する小中高生たちを支えているのが、同市のNPO法人みらい福山だ。「戦争の惨劇は決して忘れてはいけない。次世代につなぐ」と練習に熱が入る。(久保友美恵)

 「B29が91機も飛んで来て焼夷(しょうい)弾を雨のように降らせて、福山の町は焼け野原になった」。同市の県民文化センターふくやまで22日、前を見つめた児童8人の声が響いた。「水をください、水を」。被爆した女性役の女子高生は床にはいつくばり、せりふに込められた苦しみを表現した。

 「もっとゆっくり言った方がいいね」。柔らかな声で指導するのは、同法人理事長の大元光代さん。2002年から毎年、脚本・演出を担う。福山空襲と広島原爆を中心に取り上げ、市民の日常を奪う戦争の悲惨さを訴え続けてきた。

 今回は初めて、開拓団として福山市から旧満州(中国東北部)に渡った人々やアジアの諸島の戦地に赴いた父を失った孤児の苦労を伝える物語を盛り込んでいる。「国の内外、さらに戦中、戦後を問わず、昭和20年代に起きたことを広く、若者に知ってもらいたい」との思いからだ。

 近年、福山市内にある開拓団や戦没者の慰霊碑を訪ねる中で抱く思いがある。「子どもたちは、どれだけ碑に刻まれた歴史を知っているのだろうか」。それだけに次の世代に伝え、つなぎたい内容は幅広くなる。

 朗読には主婦や学生も加わる。今年は合わせて27人で、うち16人が小中高生だ。

 終戦の間際に生まれた大元さんは「戦争の記憶はない」と言う。このため、脚本を書く際には自ら歴史を調べ、平和や命の大切さについて考えるようにしている。

 「記憶にないからこそ知りたい。そして伝えたい」と力を込める。「朗読劇を演じる若者にも平和、命と向き合ってほしい」と願っている。

 <メモ>NPO法人みらい福山は今年、ヒロシマ平和創造基金(理事長・川本一之中国新聞社副会長)の基金「ヒロシマピースグラント2013」の助成対象に選ばれた。朗読劇は8月9日午後2時から、福山市の県民文化センターふくやまである。500円。同法人Tel084(978)0770。

福山空襲
 1945年8月8日、91機の米軍B29爆撃機が福山を襲来。市街地に約18万発の焼夷(しょうい)弾が投下され約8割が消失した。354人が犠牲になったとされる。

(2013年7月29日朝刊掲載)

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