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黒い雨「早期救済を」 区域外原告団ら 広島市議会に要望

 原爆投下後に放射性物質を含む「黒い雨」に国の援護対象区域外で遭い、健康被害を生じたとして広島県内の男女84人(うち12人は死亡)が被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の原告団と弁護団は7日、県議会と広島市議会に対し、原告たちを被爆者と認めて早期救済を県市に働き掛けるよう要望した。

 訴訟を巡っては、昨年7月に広島地裁が原告全員を被爆者と認め、手帳の交付を命じた一方、被告側の国と県、市が控訴した。

 この日は7月14日に広島高裁で控訴審判決が言い渡されるのを前にした要望活動で、原告団の高野正明団長(83)=佐伯区=たち6人が県議会棟と市議会棟をそれぞれ訪問。高野団長たちは各会派の控室を回って要望書を手渡し、「原告の平均年齢は83歳を超え、残された時間は少ない。早期救済に協力を」と訴えた。

 県と市は法定受託事務として国に代わり手帳交付の実務を担っている。地裁判決後、国に控訴断念を求めたが、国が「援護対象区域の拡大も視野に入れて再検討する」との姿勢を示したのを受けて控訴した。再検討のための専門家会議は昨年11月に始まり、議論が続いている。(松本輝)

(2021年6月8日朝刊掲載)

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