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反核アートで日米タッグ 被爆2世と原爆開発関係者の娘 米ロスアラモス

新作「生命」含む20点展示

 広島市西区出身で被爆2世の現代美術家と、原爆開発計画に携わった父を持つ米国の画家が、広島、長崎原爆の日を含む8月5~10日、原爆開発の地、米国ニューメキシコ州ロスアラモスで共同作品展を開く。新作1点を含む約20点を出品。「核兵器は絶対悪だ」とアピールする。

 東北芸術工科大の講師田中勝さん(44)=山形市=と、核物理学者の亡父がマンハッタン計画に関わっていたベッツィ・ミラーキューズさん(68)=同州。被爆国と原爆投下国という立場を超え、田中さんの写真にミラーキューズさんのアクリル画を重ねる手法で、1999年から共同制作を始め、作品展は日本、米国、カナダなどで12回開いた。

 新作は、田中さんの長男広城(ひろしろ)君(3)の誕生間もない頃の写真と、ミラーキューズさんが描いた地球を手にした「精霊」のアクリル画を合成した。地球の平和は人類に託されていることを表現。「生命(いのち)」というタイトルを付けた。縦20センチ、横35センチ。

 このほか、平和記念公園(中区)や、日本では史上最悪の原発事故が起きた福島、真珠湾攻撃のあったハワイのパールハーバーなどをモチーフにした作品を展示。ロスアラモスの高校生が平和をテーマに描いた絵も並べ、8月6日には原爆犠牲者の追悼セレモニーを開く。田中さんは「ロスアラモスで、芸術を通して核廃絶を訴えたい」と話している。

 ロスアラモス近郊の別の会場でも、8月2~8日に約10点を展示する。(増田咲子)

(2013年7月29日朝刊掲載)

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