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『核兵器はなくせる』 被爆証言に万雷の拍手 NPT準備委

■ヒロシマ平和メディアセンター編集部長 江種則貴(ニューヨーク発)

 国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会に参加している広島の被爆者4人は8日、関連集会で体験を話すなどして、原爆投下国での今回の証言活動を終えた。順次、帰途につく。

 国連本部であった非政府組織(NGO)など主催の二つの集会で証言したのは田中稔子さん(70)=広島市東区。6歳のときに爆心地から2.3キロで頭や腕にやけどを負い、生き地獄を目の当たりにした体験を毅然(きぜん)とした口調で語った。さらに昨年の世界一周のピースボートに参加した際にベネズエラの若い海兵隊兵士から聞いた言葉「平和こそが最大の武器だ」を紹介して締めくくると、万雷の拍手を浴びた。

 磯博夫さん(67)=福山市=と山本剛久さん(65)=広島県神石高原町=も同じピースボートに参加した。初の国連体験だった磯さんは「日本だけでなく世界を見据えて被爆者が行動すべき時期だ」との意を強くしたという。

 幼年被爆のため迫力ある話はできないとピースボート船内では証言しなかったという山本さんも「原爆投下に至る歴史をきちんと織り交ぜるなどすれば、私たち60代も思いを伝えることはできる」と、今回のニューヨークの高校などでの証言活動を振り返った。

 岡田恵美子さん(72)=広島市東区=もこの日、孫の富永幸葵(ゆうき)さん(11)とともに準備委や関連集会を傍聴。核軍縮や廃絶を求める外交官たちの論議にも手応えを感じた様子だった。

(2009年5月10日朝刊掲載)

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