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利活用策 早期に検討を 被服支廠 国有の1棟 自民議連申し入れ

 自民党の被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟は11日、広島市南区に残る市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」で全4棟のうち国が所有する1棟について、保存を前提に利活用策を早急に検討することなど10項目を政府に申し入れた。

 河村建夫会長(山口3区)や平口洋事務局長(広島2区)たち5人が首相官邸に坂井学官房副長官を訪ね、要望書を渡した。

 河村氏は、被服支廠を巡って広島県が所有する3棟の耐震化方針を示したことに呼応し、国も主体的に使い道を決めるべきだと強調。「被爆の実態を海外に発信する拠点になる」と訴えた。坂井氏は「政府は恒久平和の実現に取り組んでおり、提言を力にしっかり検討を進める」と答えた。

 平口氏は要望後、報道陣に対し、この棟を所管しているのが国有財産管理を業務とする財務省の出先機関の中国財務局だと説明。「しっかり活用するために文部科学省か厚生労働省、外務省が担当する態勢に改めてほしい」と述べた。

 議連は毎年、8月6日の広島原爆の日を前に政府や国への要望活動を行っている。米国による広島市への原爆投下後に降った「黒い雨」に関し、厚労省による援護対象区域(大雨地域)の再検証を急ぐことや放射線影響研究所(南区)の移転の早期決着なども求めた。14日には厚労省に申し入れる。(樋口浩二)

(2021年6月12日朝刊掲載)

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