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爆心直下の街 奪われた営み 旧中島地区住民が証言

 原爆の爆心地周辺で、現在は平和記念公園(広島市中区)となっている旧中島地区の住民2人の証言を聞く集いが28日、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館であった。広島市の市民団体「ヒロシマ・フィールドワーク実行委員会」が主催し、約70人が参加した。

 中島地区内の旧材木町出身の斎藤隆重さん(81)=安佐北区=は当時、岩国市の知人宅を訪ねていて直爆を免れた。翌7日に帰宅。焼け跡から祖母と姉、親戚計4人の遺骨を拾った。斎藤さんは「全員の遺骨が拾い切れたかどうか…」と声を詰まらせた。

 旧中島本町出身の上田昭典さん(84)=中区=は、被爆前の中島地区は、ビー玉をはじいて穴に入れる遊び「ラムネッチン」に子どもが熱中するなど、平和な暮らしがあったことを説明した。

 実行委は1994年から毎夏、被爆者の証言を聞き、ゆかりの地を歩く活動を続ける。2003年以降は、爆心直下の町の営みに焦点を当てている。この日は雨のため散策は中止した。(門脇正樹)

(2013年7月29日朝刊掲載)

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