×

ニュース

被服支廠 23年度着工へ 広島県、耐震化 実施設計など6600万円

 広島市南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」で、広島県が2023年度、所有する全3棟の耐震化工事に着手する方針を固めたことが17日、分かった。25日に開会予定の県議会定例会に提案する21年度一般会計補正予算案に、実施設計費などとして6600万円を盛り込む構えだ。

 複数の関係者によると、21、22年度に3棟の実施設計をし、23年度から順次、安全対策工事に着手する。これまでは、早ければ22年度にも着工できる見通しだった。併せて、国の重要文化財(重文)の指定に向けた建物の調査を、21、22年度に進める。

 補正予算案には21年度分の事業費として6600万円を計上する。内訳は、実施設計費が3500万円、重文指定に向けた調査・検討費が3千万円となる。22年度分として1億1400万円の支出枠を確保するための対応も盛り込む。

 補正予算案が成立すれば、有識者たちでつくる二つの検討組織を置く。一つは「安全対策・価値調査等検討会議(仮称)」。安全対策で建物の価値を損なわないようにする方策について意見を求め、重文指定に向けた調査報告書を作る。

 もう一つは「建物の活用の方向性に係る懇談会(仮称)」となる。活用策のアイデアについて、22年度末をめどに方向性をまとめるのを目標にするという。

 被服支廠を巡っては、県が今年5月、「2棟解体、1棟の外観保存」とする19年12月の安全対策の原案を事実上転換し、全3棟を耐震化する方針を示した。1棟につき概算で5億8千万円を投じ、内部を見学できるようにする。(河野揚)

(2021年6月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ