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被爆直後 可部の様子は 地元87歳 絵本と紙芝居に 威力測定の落下傘など描く

 原爆投下直後の広島市安佐北区可部地域の様子を伝える絵本と紙芝居を、地元の無職新沢孝重さん(87)が制作した。若い世代に平和や戦争について考えてもらいたいとの願いを込めた。

 絵本と紙芝居はほぼ同じ内容で、タイトルは共に「昭和20年8月6日 可部に舞い降りた落下傘」。原爆の風圧や温度を調べるため米軍機が落とした測定装置付き落下傘が、可部の亀山地区3カ所で見つかったことを踏まえた。新沢さんが内容を考え、知人のイラストレーターいくまさ鉄平さん(64)=西区=が絵を描いた。

 原爆とほぼ同時に投下された落下傘を、住民が爆弾と思って逃げ惑ったことなどを描写している。閃光(せんこう)とごう音の後にきのこ雲が南の空に湧き上がったことや、全身焼けただれた被爆者がトラックで可部の寺や学校に運ばれてきた様子も振り返っている。

 絵本はA4判14ページ。千部印刷し、市内の図書館や公民館などに配る。紙芝居はA2判25枚で、新沢さんは新型コロナウイルスの感染状況を見極めて発表会を開く考えでいる。

 制作費には、公益財団法人ヒロシマ平和創造基金(理事長・岡畠鉄也中国新聞社社長)の助成金20万円を充てた。新沢さんは「可部地域の住民も大変な思いをして生き抜いた。実情を作品として残し、戦争の恐ろしさを伝えたい」と話している。(重田広志)

(2021年6月21日朝刊掲載)

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