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福島原発を視察 原水禁世界大会参加者

 原水禁国民会議などの原水爆禁止世界大会に参加する約60人が29日、福島県飯舘村など福島第1原発事故の被災地を視察した。案内した元住民や行政関係者は、思うように進まない復旧、復興への不安や憤りを口にした。

 一行は、飯舘村で年間の被曝(ひばく)放射線量が50ミリシーベルト超の「帰還困難区域」の境界バリケードや、20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下の「居住制限区域」にある小学校を見学。携えた線量計で、急激に上昇する数値を確かめた。

 帰還困難区域の長泥地区に住んでいた菅野孝一さん(49)=福島市=が案内した。人の背丈まで伸びた雑草の場所が田んぼやグラウンドだったと説明し、「原発のせいで荒れたままの地域を放置して、再稼働なんてあり得ない」と訴えた。

 南相馬市では、市職員の鈴木隆一さん(44)が講演。市内の居住者は事故前から35%減の4万6千人となり、市外への避難者が現在も1万5千人に上る現状や、事業所や医療機関の再開が遅れている状況を報告した。

 鈴木さんは「原発の影響は根深い。復興が進まないため、帰るに帰れない市民の苦労を思うと心が痛む。不安は、むしろ増大している」と強調した。(藤村潤平)

(2013年7月30日朝刊掲載)

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