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被爆遺構「早急に説明を」 広島県原水禁 市に要望書提出

 サッカースタジアム建設予定地の中央公園広場(広島市中区)で見つかった旧陸軍の輸送部隊「中国軍管区輜重(しちょう)兵補充隊」施設の被爆遺構を巡り、広島県原水禁は24日、市民への現地説明会を早急に開くよう求める要望書を市に提出した。専門家の評価を聞く検討会を開き、保存を含めて継承方法を探ることも促した。

 要望書は、出土した遺構について「被爆地広島の歴史にとって極めて貴重。未来の市民を含めて市民の共有財産だ」と強調。検討会を開催し、専門家による評価が確定するまでは、遺構を残すよう訴えている。

 サカスタについては「建設を否定しているわけではない」としつつも、専門家の評価によっては当初の建設計画を変えて保存することも求められるとした。

 金子哲夫代表委員(72)たち3人が中区役所で、市文化振興課の平田太・文化財担当課長に渡した。金子代表委員は、現地説明会で遺構の価値を市民と共有したり、専門家の議論を経たりすることで「広島らしいサカスタへの設計変更もできるはずだ」と説いた。

 一方で平田担当課長は「調査スケジュールに影響が出る」として、市民への現地説明会は開かないとする方針を説明。江戸期の地層を調べるため近く被爆遺構を撤去し、写真などを使った報告会を開くとした。

 これに対して原水禁側は「『壊した後にやる』では順番が違う」「調査スケジュールを変更してほしい」などと反発。平田担当課長は「要望を持ち帰り、後日あらためて回答する」と引き取った。(水川恭輔)

(2021年6月25日朝刊掲載)

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