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慎重派団体 落胆の声 平和条例案可決 推進派は歓迎

 広島市議会が本会議で平和推進基本条例案を可決した25日、条例の修正や採決先送りを求めてきた被爆者団体や市民団体に落胆が広がった。「平和記念式典を厳粛の中で行う」とした条文には、今後の運用に対して懸念の声が上がった。条例制定を求めてきた市民団体は歓迎した。

 広島県被団協(坪井直理事長)は市議会に慎重な議論を求めてきた。箕牧(みまき)智之理事長代行(79)は「将来にわたって市や市民のよりどころとなる条例であってほしいからこそ、賛否が分かれる中では議論を続けるよう求めてきた。無視されたようなむなしさがある」と残念がった。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(76)は「意見の違いを埋める話し合いが十分に持たれなかった過程が最大の問題だ。今後は改正も視野に議論を続けるべきだ」と訴えた。

 市内の若者たちでつくる「平和推進条例の改善を求める市民キャンペーン」(中区)は性急な成立に反対してきた。渡部久仁子代表(40)は「同調圧力になり得る条例ができてしまった現実を、有権者である市民一人一人が受け止めなくてはいけない」と話した。

 条例可決などを要望してきた市民団体「静かな8月6日を願う広島市民の会」の石川勝也代表(65)は「平和な未来を築く条例ができたのは良かった」と歓迎した。平和記念式典の会場周辺でのデモ活動を念頭に「状況が変わるよう、市に要望していく」と話した。

(2021年6月26日朝刊掲載)

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