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御調の被爆者団体解散 尾道 高齢化で活動困難に

 広島県尾道市御調町の被爆者たちでつくる御調町原爆被害者協議会が昨年9月に解散したことが分かった。1970年の結成時に約200人いた会員は、被爆者21人と遺族23人の計44人に減っていた。同市では因島の団体が2016年に解散し、尾道地区原爆被害者の会だけが存続している。

 昨年度は新型コロナウイルスの影響で総会や行事を開けず、アンケートで同意を得た上で解散を書面で通知した。高齢化で施設に入る会員が増えたことも解散の一因という。

 19年まで毎年8月6日に追悼式典を開催。被爆者が地元の中高生たちに語る機会も設けてきたが、5年ほど前から減ったという。

 85年には被爆者72人の体験記集を発行した。手記を基に住民が紙芝居を作り、元教員の女性たちが小学校などで披露している。86年に同町中心部に建てた慰霊碑には、今も園児や生徒が折り鶴を手向ける。

 最後の会長で父親が被爆死した溝上泰さん(89)は「体験記集や紙芝居を使い、教員たちが子どもたちに悲惨さを伝えてほしい。慰霊碑も原爆を身近な記憶としてとどめる機会になれば」と願った。(森田晃司)

(2021年7月2日朝刊掲載)

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