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「平和の鐘」響き64年ぶり 広島 イベント出演者発案

 広島市中区のハノーバー庭園近くにある「平和の鐘」が29日、64年ぶりに打ち鳴らされた。同庭園で開催中のイベント「ピース・フィールド」の出演者が企画した。1949年の第3回平和祭(現平和記念式典)以来となる鐘の音が、被爆地に響いた。

 鐘(高さ1・4メートル、直径1・2メートル)は戦後、浜井信三市長(当時)の依頼を受けた広島銅合金鋳造会が、焼け跡に残る金属を集めて制作した。高さ約9メートルの鐘楼につり下げられている。

 同庭園にあった広場などで開かれた第1回~第3回の平和祭で打ち鳴らされたが、50年の第4回平和祭は朝鮮戦争の影響で中止。その後は会場が平和記念公園(中区)などに移り、鳴らす機会を失った。

 64年ぶりの鐘突きはピース・フィールドに出演する松山市のシンセサイザー奏者西村直記さん(64)が発案。広島市などに相談して実現した。西村さんのステージ前の29日午後7時すぎ、広島銅合金鋳造会の故松村米吉会長の長男伸吉さん(72)=西区=が鳴らした。

 西村さんは「鎮魂と平和への思いが鐘の音に乗り、原爆で亡くなった人たちの所へ届いたと思う」と話していた。(中島大)

(2013年7月30日朝刊掲載)

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