×

ニュース

市長「言論統制ない」 広島 平和条例で見解

 広島市の松井一実市長は1日、8月6日の平和記念式典を「厳粛の中で行う」と第6条2項で定めた市平和推進基本条例について「言論統制をかける趣旨はない」との見解を示した。実際の運用では「決して強制しないとの手順が条文に示されている。市民の理解を得た上で協力をお願いしていく」と強調した。

 条例を巡っては、第6条2項が「市民の行動を制約すると受け止められる」などとして、二つの広島県被団協や広島弁護士会が成立の見送りや修正を要望していた。松井市長はそうした危惧を打ち消した格好だ。

 市役所で、市民団体「静かな8月6日を願う広島市民の会」(東区)など3団体の要望書を受け取った後に答えた。「厳粛」の実現へ、8月6日に原爆ドーム周辺でデモをする団体との協議を続けると説明。条例は「話し合いで相手の納得を得ようとする市の手続きをオーソライズ(承認)してくれる」と述べた。

 要望書は、条例の精神を重んじて式典を厳粛に行うことや、静かな環境の確保をデモ団体に文書で要請することなどを市に求めている。市民の会の石川勝也代表は要望後、「条例が有名無実化することのないようにしてほしい」と訴えた。

 条例は前文と全10条からなり、6月29日に施行された。6月の市議会定例会に議員提案され、25日の本会議で賛成多数で可決された。(新山創)

(2021年7月2日朝刊掲載)

年別アーカイブ