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[ヒロシマの空白] 遺族待つ 815人の名簿 原爆供養塔 広島市が全国発送

 広島市は1日、原爆供養塔に納められた約7万人の遺骨のうち、名前が判明しながら遺族に引き取られていない815人を載せた名簿を、全国の自治体や被爆者団体などに発送した。15日から10月末まで庁舎などに張り出してもらい、名乗り出る遺族を待つ。

 名簿はB1判とB2判。「遺族を捜しています」の文字の下に五十音順で並ぶ。名前だけの人がほとんどだが、手掛かりとなる勤務先や通学先、年齢が記された死没者もいる。市職員2人が市役所で名簿を封筒に入れ、都道府県や市区町村、被爆者団体、病院など1985カ所に送った。

 市は1968年に名簿の公開を始め、85年から全国に送っている。公開以降、847人の遺骨が引き取られてきた。昨年は理化学研究所(理研、本部・埼玉県和光市)から引き渡された遺骨が遺族の元に戻った。

 市調査課は「原爆投下から76年がたとうとする中、一人でも多くの遺骨を遺族の元にお返ししたい」として、情報提供を呼び掛けている。(小林可奈)

(2021年7月2日朝刊掲載)

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