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黒い雨「国の主張矛盾」 控訴審 判決前に原告説明会

 原爆投下後に放射性物質を含む「黒い雨」に国の援護対象区域外で遭い、健康被害が生じたと訴える広島県内の男女84人(うち13人は死亡)が被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟で、原告側弁護団は3日、広島高裁での14日の控訴審判決を前に、広島市中区などで原告向けの説明会を開いた。

 広島弁護士会館(中区)であった説明会には、原告や支援者約40人が参加。竹森雅泰(まさひろ)弁護士が、昨年11月に始まった控訴審の経過を報告した。

 昨年7月の一審広島地裁判決は原告全員への手帳交付を命じたが、控訴した被告側の国と県、市は「黒い雨は火災のすすを含んだもので、原告が浴びるなどした場所に放射性降下物が降った科学的知見はない」と訴えている。竹森弁護士は「被爆者援護法は黒い雨に放射性微粒子が含まれ、健康被害が生じる可能性があることを前提としている。自ら定めた法を否定する国の主張は、自己矛盾を起こしている」と批判した。

 原告団の高野正明団長(83)=佐伯区=も「高裁でも全員を救済する判決を信じている」と強調した。

 説明会は一部の原告が住む安芸太田町でもあった。(松本輝)

(2021年7月5日朝刊掲載)

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