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米軍機騒音 匹見で増加 70デシベル以上1~5月172回 昨年分上回る

 益田市匹見町で今年、米軍機によるとみられる騒音が増加していることが6日、分かった。県が同町匹見に設置した騒音測定器の観測で、5月までで70デシベル以上を計172回記録し、2020年の1年分の161回を既に超えた。測定が始まった13年以降でも、2番目の多さとなっている。(下高充生、松島岳人)

 同町は米軍岩国基地(岩国市)から直線距離で約50キロの位置にある。月別では1月14回、2月20回だったが、3月が47回、4月が60回と春以降に増えた。5月は31回だった。音の大きさは最大70~80デシベルが多いが、「騒々しい工場の中」に相当する90デシベルを超す96・0デシベル(3月11日)94・5デシベル(4月1日)を記録した日もあった。

 国が同町道川に置く測定器でも昨年から騒音が増加している。今年4月の58回、5月の54回、昨年11月の43回は、データを公表している16年10月以降の月別で1~3番目に多い。

 市匹見総合支所によると、4、5月の米軍機に関わる住民からの相談は他の時期に比べて増えてはいないという。同支所の担当者は「騒音への住民の慣れもあるのかもしれない」と分析する。しかし、昨年9月には匹見小の上空を米軍機がかなり低く飛んだため、同校が支所を通じて低空飛行の中止を申し入れる事態も起きた。品川智成校長は「子どもたちの安全への脅威を感じた」と話す。

 県西部では昨年から米軍機とみられる騒音が増加し、浜田市旭町や江津市桜江町、邑南町などの測定器で70デシベル超えの急増を確認している。県は国に対し昨年騒音が増加した点は伝えたとする一方、要因は明確に分かっていないとする。益田市危機管理課は「住民が不安を持っている状況に変わりはないので、引き続き県や国を通じ負担軽減を働き掛けたい」としている。

米軍機によるとみられる県西部の騒音
 県西部は米軍の訓練空域「エリア567」に入る。益田市匹見町以外でも浜田市旭町の2020年度の騒音回数(国設置分)は14年度以降2番目に多く、今年4~6月も計422回で既に20年度1年分の6割近くに達している。米軍岩国基地(岩国市)では18年3月、厚木基地(神奈川県)から空母艦載機約60機の移転が完了し、所属機が倍増した。

(2021年7月7日朝刊掲載)

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