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被爆者の記憶 忠実に描く 基町高生18人 「原爆の絵」完成

 広島市中区の基町高の創造表現コースの生徒18人が、被爆者10人の証言を基にした「原爆の絵」19点を仕上げた。被爆者の脳裏に刻まれた記憶を風化させまいと聞き取りを重ね、76年前の情景を描き出した。

 髪を振り乱したまま血とほこりにまみれて列を作る被爆者、大やけどを負いうじ虫がわいた背中…。生徒は被爆者が見た光景や体験を油絵で表現した。昨年10月から制作し、記憶の忠実な再現へ修正を重ねた。

 3年岡田友梨さん(17)は、県立広島第二高等女学校の4年生だった15歳の時に被爆した切明千枝子さん(91)=安佐南区=から証言を聞いた。髪の毛が焼け、脚や手の皮膚を引きずる切明さんの下級生の姿を描いた。

 「制作を通じて記憶や思いに触れ、原爆のむごさがよく分かった」と岡田さん。切明さんは「作品として残ることで、戦争を経験していない世代に原爆の恐ろしさを伝えていってほしい」と願った。

 基町高は2007年度から、原爆資料館(中区)の依頼で「原爆の絵」を描いている。これまでに171点が完成し、証言活動や原爆展で活用されている。(小林可奈)

(2021年7月8日朝刊掲載)

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