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犠牲者の慰霊行事要望 サカスタ被爆遺構 広島市に市民団体

 サッカースタジアム建設予定地の中央公園広場(広島市中区)の発掘調査で見つかった旧陸軍の輸送部隊「中国軍管区輜重(しちょう)兵補充隊」施設の被爆遺構を巡り、市民団体「広島文学資料保全の会」(中区)などが7日、遺構付近で亡くなった原爆犠牲者の慰霊行事を開くよう市に求めた。

 土屋時子代表(73)と広島花幻忌の会のメンバーたち5人が市役所を訪れ、市文化振興課の平田太・文化財担当課長に要望書を提出した。①遺構の撤去前に慰霊行事を開く②広く市民の意見を聞き、専門家と協議して保存や公開を進める―の2点を求めている。

 平田担当課長は、8月6日の平和記念式典を踏まえて要望の行事を開く考えはないとし、保存・公開は一部で検討していると回答した。専門家たちへの意見聴取については「保存状態が良くなく、現時点で被爆の痕跡は認められていない。専門スタッフの意見を基に市で判断する」と述べた。

 保全の会の要望は6月22日に続き2回目。土屋代表は「建設の日程などを具体的に聞きたかったので、求めていたサカスタ建設の担当者たちがいなかったのは残念だった。もう一度、市長に要望したい」と話した。(新山創)

(2021年7月8日朝刊掲載)

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