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白と黒 重い問い掛け 「ヒロシマ・アピールズ」ポスター発表

 日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)広島地区と広島国際文化財団、ヒロシマ平和創造基金は9日、核兵器廃絶や平和の尊さを国内外に訴える2021年版の「ヒロシマ・アピールズ」ポスターを発表した。アートディレクターの大貫卓也さん(63)=東京都世田谷区=が制作。スノードームの中に、平和を象徴する白いハトと、戦争や原爆、黒い雨を想起させる黒い粉をあしらった。

 タイトルは「HIROSHIMA」。白と黒を基調に描き、戦争や核兵器の脅威から逃れられない世界の現状を表現した。それをガラス越しに見る視点を通じて多くの人が「傍観者」であると問い掛けている。

 今年は拡張現実(AR)技術を活用。スマートフォンなどをかざすと、黒い粉が動く動画を視聴できる仕組みを取り入れた。

 広島市役所で記者会見した大貫さんは「若い人たちが原爆や広島に興味を持つきっかけになってほしい」と願った。会見に先立ち、ポスターを受け取った小池信之副市長は「作品を通じて、多くの人に広島の心が伝わる」と感謝した。

 ポスターは25作目で、B1判で2千部を印刷した。1枚1100円で原爆資料館(中区)などで販売するほか、市内のバス停に掲示する。(小林可奈)

(2021年7月10日朝刊掲載)

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